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2014/07/21

第9回ヒロシマ賞受賞記念 ドリス・サルセド展 Exposición "Doris Salcedo" para conmemorar el Premio Hiroshima

 世界最初の被爆地である広島市は、現代美術の分野で人類の平和に貢献した作家の業績を顕彰し、世界の恒久平和を希求する「ヒロシマの心」を現代美術を通して広く世界へと伝えることを目的として、1989年にヒロシマ賞を創設した。本展は、その第9回受賞者に決まったドリス・サルセドの受賞記念展となる。

 1958年にコロンビアの首都ボゴタに生まれたサルセドは、ホルヘ・タデオ・ロサノ大学で美術の教育を受けた後、渡米し、ニューヨーク大学の大学院で彫刻を学ぶ。その後、ボゴタに戻り、コロンビア国立大学での後進指導を経て、制作活動を行っている。

 1980年代後半から、日常の家具や衣服などを彫刻として再生させながら、暴力による犠牲者の記憶を静かに訴える作品や、空間全体を死者を悼むための場に変容させるような大規模なインスタレーションを制作している。

 サルセドは、コロンビアで暴力によって殺された人々の家族から話を聞き、そこから得た証言を作品に反映させている。≪Atrabiliarios≫(アトラビリアリオス、権力への反抗=図版参照)や≪Casa viudas≫(カサ・ビウダス、未亡人の家)などがそれにあたる。

Atrabiliarios
≪Atrabiliarios≫(アトラビリアリオス、権力への反抗)1992-2004年
Photo by Ben Blackwell

 このようにサルセドは、自国コロンビアをはじめ、世界で横行する暴力や差別などに対して、芸術が強い抵抗の力を持ち得ることを一貫して示してきた作家であり、本展では、人類史上、類を見ない暴力がもたらしたヒロシマの悲劇を、独自の方法で結び付けながら、死の悼みを超え、再生の願いを込めた作品を展示する。

 来夏で被爆70周年を迎えようとするなか、南米の作家として初めての受賞となるドリス・サルセドがヒロシマに向き合うことは、今後ヒロシマをどのように世界に伝えていくかを考える上で、本展は貴重な機会となるだろう。

【時代背景】
 サルセドが生まれた1958年は、コロンビアでは軍事独裁政権から文民政権が移行した年であった。文民政権とはいえ、反体制勢力を阻止するため、二大政党の間だけで政権がたらいまわしにされることが1980年代まで続いた。二大政党だけで寡占的に政治権力が保持されていることで、政治システムから排除され、合法的に政権を獲得する手段を奪われた人々は暴力的手段でしか体制変革の道はないと感じ、ゲリラ組織(コロンビア革命軍、民族解放軍、解放人民軍など)を結成した。1970年代末からは反政府ゲリラの、そして1980年代後半からは麻薬マフィアによる体制への暴力的な挑戦が、1990年代、さらに2000年代に入っても続いた。(参考文献:二村久則編著「コロンビアを知るための60章」明石書店刊、2011年)

第9回ヒロシマ賞受賞記念
ドリス・サルセド展

会期 2014年7月19日(土)-10月13日(月・祝)
    10:00-17:00 
    
    ※7月20日、21日、10月12日、13日は19:00まで開館
    ※入場は閉館30分前まで
休館日 月曜日、但し7月21日、9月15日、10月13日は開館し、翌日開館
    
会場 広島市現代美術館
    広島県広島市南区比治山公園1-1 TEL.082-264-1121
    美術館ウェブサイト 
    http://www.hiroshima-moca.jp/
観覧料 一般1030(820)円、大学生720(620)円
      高校生・65歳以上510(410)円
      ※中学生以下無料 
      ※( )内は前売りおよび30人以上の団体料金
主催 広島市現代美術館、朝日新聞社
後援 広島県、広島市教育委員会、中国放送、広島テレビ
    広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送
    尾道エフエム放送

Plegaria
≪Plegaria Muda≫(プレガリア・ムーダ、沈黙の祈り)2008-2010年
Photo by Patrizia Tocci
※暴力の犠牲となった無名の若者たちのための作品

Flor_de_piel
≪A Flor de Piel≫(ア・フロール・デ・ピエル、皮膚の表面)2013年
※大量の紅いバラの花びらを一枚一枚糸で縫い合わせた作品

【ドリス・サルセド Doris Salcedo】
Ds_portrait_2
ドリス・サルセド
Photo by Rui Gaudêncio, 2011


 1958年生まれ、コロンビア共和国ボゴタ出身・在住。ボゴタ大学で美術の教育を受けたのち、渡米し、ニューヨーク大学大学院で彫刻を学ぶ。その後ボゴタへ戻り、コロンビア国立大学での後進指導を経て、制作活動を続ける。
 主な個展に2007年「Shibboleth」テート・モダン(ロンドン)、2010-13年「Plegaria Muda」、Mederna Museet,Malmö(スウェーデン)、Fundação Calouste Gulbenkian(リスボン)ほか巡回。2015年にはシカゴ現代美術館など、アメリカを巡回する大規模な回顧展が開催される予定。
 このほかヴェネチア・ビエンナーレ、サンパウロ・ビエンナーレ,、イスタンブール・ビエンナーレなど、国際美術展にも多数参加している。

Istanbul_2
≪二つの都市建築物の間に積み上げられた1550個の椅子≫ 2003
第8回イスタンブール・ビエンナーレ
Photo by Sergio Clavijo

【関連プログラム】
■ドリス・サルセド講演会
2014年7月19日(土)14:00-15:30
作家本人が自らの作品について語る。
会場:地下1階ミュージアムスタジオ
※要展覧会チケット(半券可)

■学芸員によるギャラリートーク
2014年7月20日(日)、9月21日(日)14:00-15:00
担当学芸員による作品解説。
※要展覧会チケット、申込不要

ヒロシマ賞 過去の受賞者
第1回(1989年決定) 三宅一生/デザイン
第2回(1992年決定) ロバート・ラウシェンバーグ/美術
第3回(1995年決定) レオン・ゴラブ&ナンシー・スペロ/美術
第4回(1998年決定) クシュシトフ・ウディチコ/美術
第5回(2001年決定) ダニエル・リベスキンド/建築
第6回(2004年決定) シリン・ネシャット/美術
第7回(2007年決定) 蔡國強/美術
第8回(2010年決定) オノ・ヨーコ/美術

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