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2014/02/22

イコンとしてのチェ・ゲバラ Iconized Che Guevara

Iconized_che_guevara

イコンとしてのチェ・ゲバラ   
〈英雄的ゲリラ〉像と〈チェボリューション〉のゆくえ
加藤薫著

   
新評論
2014年2月21日発行
2,200円(本体価格)
978-4-7948-0962-9
A5判並製
188ページ+カラー口絵4ページ

《民衆の希望を反映して増殖を続ける《英雄的ゲリラ》のイコン》
《その無数の流用と神話化のメカニズムに「変革」への夢を探る》

 ジャン=ポール・サルトルをして「20世紀で最も完璧な人間」と言わしめ、ジョン・レノンに「世界で一番カッコいい男」と称賛された人物。その名はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(1928~67)、一般にチェ・ゲバラとして知られる。

 1967年に非業の死を遂げて以来、チェ・ゲバラの《英雄的ゲリラ》としてのイメージは、民衆の願望や希望を反映した神話化のプロセスを歩んできた。そしてそのイメージは、21世紀になっても消費しつくされることなく、理想の未来を目指す運動のイコンとしていまも増幅を続けている。

 本書は、数多あるゲバラ研究に新発見の事実や歴史の新解釈を加え、脱神話化の文脈でその「英雄性」を世に問うというものではない。社会正義や「公正な社会」の実現のため、あるいはささやかな自己実現のためにチェ・ゲバラのイメージを必要とした人々の物語であり、彼の英雄譚をあらわす表徴/イコンの集成ということになる。そこで中心的な役割を果たしたのが、写真家コルダが撮影した「世界で一番有名な肖像写真」である。そのアプロプリエーション(流用)の範囲は、芸術作品から商品にいたるまで実に幅広い。多くの写真家やアーティストたちが、このイコンをイメージの上で超えていく図像の創造を、あるいは、過去のイメージの発掘と再生を競いあってきた。

 本書ではこういった事例の紹介に相当の紙数を費やしている。ゲバラというイコンは、なにゆえいまだに愛され、必要とされているのか。その理由を、現代社会のありように照らしあわせながら、読者とともに探ってみたい。草の根からの社会変革が可能だと信じた20世紀後半の数々の抵抗運動の挫折を経て、より複雑さを増し、真の敵が見えにくくなっている現代において、「チェボリューション」(ゲバラの理想や行動を参照しつつ目指される社会と人間の変革)は果たして可能か、あるいは本当に必要なのか。本書はそれを考えるための一歩である。
(著者 加藤 薫)

加藤 薫(かとう かおる)プロフィール
1949年生まれ。中南米・カリブ圏・ラティーノ美術研究者、評論家、神奈川大学教授。
国際基督教大学卒業後、ラス・アメリカス大学大学院芸術学部修了。1991年より現職。毎年アメリカ大陸を訪れ、美術の現地調査研究に従事するほか、各種美術展の企画やテレビ番組制作にも携わる。
主著に、『メキシコ美術紀行』(新潮社、1984)、『ラテンアメリカ美術史』(現代企画室、1987)、『ニューメキシコ 第四世界の多元文化』(新評論、1988)、 『キューバ☆現代美術の流れ』 (スカイドア、2002)、 『21世紀のアメリカ美術 チカーノ・アート』 (明石書店、2002)、『メキシコ壁画運動』(現代図書、2003)、『ディエゴ・リベラの生涯と壁画』(岩波書店、2011)、『骸骨の聖母サンタ・ムエルテ』(新評論、2012)など。

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