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2014/02/03

CHILE AYER HOY チリ 昨日、今日

Chile_ayer_hoy

CHILE AYER HOY
Gobierno de Pinochet

Santiago, Editora Nacional Gabriela Mistral, 1975
98頁、モノクロ写真119点、カラー写真1点、ソフトカバー
チリ軍事クーデター後、軍事政権が発行した写真集
30,320円 古書

 1973年、アウグスト・ピノチェット将軍が率いる軍部によって起こされたクーデターの後、1975年に出版された。この写真集を出版したEditora Nacional Gabriela Mistral(1973年以前はQuimantuと名乗る)は、ピノチェット政権から支援を受け、低コストで多部数を発行する出版社として知られた。

 本書はチリの歴史上、重要で関心を引く文献であり、プロパガンダのためのツールとなった。安っぽい紙を使ったこの写真集は、おそらく大量に出版されたと思える。表紙には、チリの国旗の色が使われている。「AYER」の文字に赤色を使い、「HOY」の文字には白を使っている。写真集は、「AYER=昨日」と「HOY=今日」との対立で構成されている。見開きの左頁は、黒く縁どられ、「AYER=昨日」を表し、右頁は、白い縁取りで、「HOY=今日」を表している。すべての写真には、チリの昨日と今日の現実を述べているキャプションが付されている。キャプションは、スペイン語、英語、フランス語の三つの言語に訳されているのも意味ありげだ。

 「AYER=昨日」の写真は、暴力、混沌、抗議運動、共産主義者、閉じた店舗、貧困を描写する。「HOY=今日」の写真は、大部分同じ撮影場所であるが、チリは平和で、清潔で、幸せで、子どもたちが学校に通い、大人たちは新しい国造りを行っている社会であることを示している。イメージやテキストの組合せで物語を作っている。これらの写真から、独裁者が望んだ文化的要素としてのヘゲモニーが明らかになっている。

 最後の数頁は、黒く縁どりされ、共産主義の脅威を強調している。そして最終頁では、微笑む女性と新しいチリ国家の明るい未来が飾られている。

Chile_ayer_hoy_1


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