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2012/04/30

スペイン出版物 版権プロモーション

 スペインは、自国の出版物の版権売買プロモーションプログラム「New Spanish Books」を、日本、英国、ドイツ、フランス、米国で行っている。

 4月27日に在日スペイン大使館で行われたそのプロモーションに参加した。5名の選考委員(書店、出版社2名、新聞者の元学芸部員、スペイン・ラテンアメリカ文学研究者)がスペインの出版物から、最終的にセレクションした19点を、5人のそれぞれの立場から、一人3-4点ずつのプレゼンをした。

 その中から、選考委員たちのプレゼンと原書リーダーたちの内容レジメから、その場で直感的に感じた、日本のマーケットに受けそうな書籍をここに紹介してみます。

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Crónicas de lo imposible
不可解なクロニクル

著者: ルル・ソトゥエラ=エロリアガ Lur Sotuela Elorriaga
出版社: エネイダ Grupo Editorial Eneida
言語: スペイン語
発行年: 2011
ページ: 200
刷数: 3
定価: 9.95€
ジャンル: 文学

【概要】 本書は、詩人ルル・ソトゥエラのバランス良い短編集で、フリオ・シルバが挿絵を描いている。これら25編の短編に共通する特徴は、深い心理表現、人間の不安、ブラックで辛辣なユーモアである。それに加え、Les discours du Pince-Gueule (パンス・ゴールのスピーチ、1966年)、 La vuelta al día en ochenta mundos (80世界一日めぐり、1967年)、 Último round (最後のラウンド、1969年)などフリオ・コルタサル作品の挿絵を手がけてきた、80歳を超えるフリオ・シルバの挿絵により、かけがえのない1冊となった。我々人間をめぐる存在の問題に、著者は優しく、人間的に、深く、そしてユーモアを持って向き合い、どの短編も楽しく、健康的で、興味深い体験になっている。知性と繊細さをもって書かれた物語で、的確で絶妙な筆運びにより、我々は登場人物の内面に入りこみ、感動し、楽しみ、心をふるわせる。

【私の理由】 コルタサル作品の挿絵をてかげてきたことと、シュールなところ。

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El alma del mundo
世界のたましい

著者: アレハンドロ・パロマス Alejandro Palomas
出版社: エスパサ Editorial Espasa
言語 スペイン語
発行年: 2011
ページ: 325
刷数: 1
定価: 20.90€
ジャンル: 文学 Literatura

【概要】 オットーとクレアがブエナ・ビスタ老人ホームにやってきた午後、このふたりの老人が、時の流れとともにすり減ったふたつの人生の重み以上のものを抱えていようとは、誰も思わなかった。若いヘルパーのイロナでさえ、彼らに付き添うこの3か月間が彼女の人生にこれほどのものをもたらそうとは想像していなかった。3か月の間、3つの魂は、最初は一緒に過ごすことで、やがて次第に愛情でつながり、やがてがっしりと結ばれる。退屈することに子どものように抵抗し、決然と人生と真実を危険にさらすふたりの老人。そして、多くの隠しごとをしながら、そうやって秘密をかかえているせいで悪いことがあるのではと恐れる若い娘。
 本書は大きな愛の物語であり、愛をめぐる大きな物語でもある。音楽へ、人生へ、そして最後のチャンスへの愛。ふたりの勇敢な老人は、感情を優先するため、そして今までそうなる勇気がなかったものを手に入れるための最後のチャンスをつくりだす。

【私の理由】 迫りくるいやもう入り込んでいるのか日本の高齢社会に相応しいテーマか。

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El sueño de Lu Shzu
ル・シュの夢
 
著者: 文:リカルド・ゴメス Ricardo Gómez
著者: 絵:テサ・ゴンサレス Tesa González
出版社: エデルビーベス Edelvives
言語: スペイン語
発行年: 2011
ページ: 44
刷数: 1
定価: 16.50€
ジャンル: 児童書・YA Infantil y juvenil

【解説】 ル・シュは工場の組立部門で働いている女の子。穏やかにくらしていたが、あるとき、自分の働いているのがおもちゃ工場だと知り、自分の人形を持ちたいと思いはじめる。少しずつパーツを集めはじめたが、見つかって首になってしまう。けれど、おばあちゃんが人形をプレゼントしてくれる。

【私の理由】 ちょっと泣ける話。

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El vampir Ladislau
吸血鬼ラディスラウ

著者: エンリック・リュック Enric Lluch
出版社: ブロメーラ Bromera
言語: スペイン語
発行年: 2011
ページ: 32
刷数: 1
定価: 16.95€
ジャンル: 児童書・YA Infantil y juvenil

【概要】 吸血鬼のラディスラウは問題を抱えている。牙が鋭くないのだ。鋭い牙がなければ人間を怖がらせることもできなければ、おいしい首に噛みつくこともできない。実は、吸血鬼の人生だって、なかなか厳しいのだ!

【私の理由】 スペインの絵本は、どうして「きもかわいい」のだろうか。ゴスですか。

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LA COLA DE LA SERPIENTE
蛇の尾

著者: レオナルド・パドゥーラ Leonardo Padura
出版社: トゥスケッツ TUSQUETS EDITORES
言語: スペイン語
発行年: 2011
ページ: 192
刷数: 1
定価: 16.00€
ジャンル: 文学 Literatura

【概要】 2、3本のかなりさびれた通り、それだけがハバナのチャイナタウンの名残だ。キューバ人の元刑事マリオ・コンデはそこに足を踏み入れた途端、何年も前、1989年に既に来たことがあるといやでも思い出す。魅力的な警部補のパトリシア・チオから不思議な事件を解決するために手を貸してくれと頼まれたのだった。ペドロ・クアング老人の殺人事件。老人は指1本が切りとられ、胸に丸と2本の矢の絵を刻んだ状態で、首を吊って発見された。これはサンテリア教(キューバの民間信仰)の儀式だった。捜査は街の近隣地域へと広がり、コンデは意外なコネクションを発見する。秘密のビジネス、多くのアジア系移民家族の現実をさらけだす自己否定と不幸の物語、彼らのキューバ人との散発的なコンタクト。中国のことわざにあるように、蛇の頭にたどりつくには蛇の尾を見つけるべし。無秩序な街をさまよいながら、コンデが過去と現在を行きつもどりつするうちに、友人、女たち、危険などに彩られた混沌とした世界の空気を、読者は再び吸うことになる。コンデ・シリーズの1冊。

【私の理由】 キューバの中国人街、民間信仰の儀式、殺人というキーワードが刺激的。

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L’estany de foc
火の池 

著者: シルベストラ・ビラプラーナ Silvestre Vilaplana
出版社: ブロメーラ Bromera
言語: カタロニア語
発行年: 2010
ページ: 400
刷数: 2
定価: 19.00€
ジャンル: 文学 Literatura

【概要】 知識のベールの下に神の言葉に背く迷信や異端を隠している、極めて危険な本というのがあるものだ。中でも特に邪悪とされた1冊の本がある。数人の男たちがこっそり保管していたこの本を、異端審問所が血眼になって探すようになり、15世紀末、著作物とその所有者をめぐるものとしては歴史上最大規模の追跡が引き起こされた。この特別な本を守る男たちは、不運にもこの最後の1冊と運命を共にする。神が聖書に残さなかったものをすべて焼き尽くさんとする火の池から救いださなければならない本。史実とまったくの虚構をないまぜにしつつ、巧みな語り口で読者をぐいぐいひきこむ作品。

【私の理由】 ウンベルト・エコーの《薔薇の名前》を思い出した。《薔薇の名前》がでてから、30年ほどたつのだろうか。また、危険な一冊をめぐり、新たなミステリーが生まれたのか。

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